もう一度、『ベートーベンウイルス』…はじまりの交響曲11

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 | 投稿日時 2013/9/8 20:10
hiroko  レギュラー   投稿数: 53
厳しい現実

 ソクラン市のバスターミナル。
今、到着したバスから降り立ったのは、ハ・イドォンだった。だがいつものはつらつとしたイドォンと違う、心なしかひどく寂しげだ。
やっと、キム・ガビョンの家族からガビョンの入所した施設を聞き出し訪ねた帰りだった。
施設でやっと会うことのできたガビョンは窓辺に車椅子に座っていた。イドォンはうれしさのあまり駆け寄った。
しかしガビョンはイドォンの呼びかけに反応しないばかりか、まるで外界すべてを拒絶しているかのように、誰の声にも反応しない。
空をただ見るともなしに眺めているばかりだった。ガビョンはイドォンのことを覚えはいなかった。
施設の職員によると認知症によるうつ状態で極端に無気力になっているのだという。
イドゥンはガビョンのそんな姿を少しは想像はしてはいた。けれどやっぱりショックを受けた。
だからこそガビョンの家族はイドォンにあわせるのをためらっていたのかもしれない。
バスターミナルにはヨンギが帰りを待っていてくれた。
「イドォン!イドォン!どうだった?キム先生は元気だったか?」
ヨンギは大きく手を振ってイドォンを迎えた。
「ヨンギさん…」
イドォンは思わずヨンギの首にしがみついて泣きじゃくった。
〜あんなに私のことを忘れないって約束したのに。
私がフルーティストとして成功するのを楽しみにがんばると言っていたのに〜
イドォンは込みあげるる気持ちをどうしようもなかった。
なかなか泣き止まないイドォンにヨンギは困り果ててしまった。
「イドォン、俺も仕事が休めれば一緒に行ってやれたのに…ごめんな。」
だが、ヨンギはどうしてもクラブでの仕事を休むことができなかった。

マウスでの活動はまったくお金が入ってこない。今のヨンギの生活を支えているのはクラブでの演奏だ。
これは、ヨンギに限ったことではない。マウスの誰もが別の仕事で生活の糧を得ている。
イドォンにしても、奨学金とガビョンからのお金を少しも無駄にしないでレッスンにつぎ込み、かなり切り詰めて生活している。
おしゃれを楽しむ同い年の女の子達のなかで、いつも同じ洋服で飾ることもしていない。
家族を食べさせなければならないヒョッコンは花屋だ。
仕入れから開店の準備や注文の配達…幼い子供をかかえて妻は店番もままならないから、すべてをヒョッコンが背負っている。
睡眠時間をさいて練習をし、マウスに参加して、また店に戻って開店準備をする。

そんなに練習をしても、今のマウスにはそれを披露する機会はほぼない。
月一回でもどこかの屋外の会場で演奏できればいいほうだった。それもボランティアしてくれる人たちの好意に甘えている。
生活に追われる毎日、頑張っているオーケストラは先が見えない。
皆少しずつ閉塞感を感じていた。

ヨンギはイドォンをなだめながら一緒に練習場に向かった。
皆はすでに集まって練習をはじめている。
イドォンも自分の椅子にかけ、フルートをケースから出しはしたが黙ってうつむいたままだ。まだショックから気持ちを切り替えられていない。
バス代を出すためにさらに食事を抜いたのだろう。元気もない。
イドォンだけではない。皆それぞれ疲れている。

運悪く、さまざまな迷いや、悩みが重なってこのところマウスの空気を重くしている。
これから、ソクランには本格的な雨の季節がくる。
益々マウスの演奏会場が見つけられなくなるのだ。それがさらに鬱々とした空気となって漂っている。
ゴヌはマウスの皆には音楽が、マウスでの演奏がこころのよりどころだとわかっている。だが一方でみんなの日々の生活がいかに大変かもわかっている。
だから疲れている様子が胸に刺さる。
ゴヌ自身も、マウスのこれからに迷っている。
どう率いていったらいいのか。そして、キョンファに言われた言葉。
「マウスと演奏する意味があるのか…」
意味あるに決まってる。だが今それはなぜか色を失っている。
『俺はどうしたんだ。気持ちを整理しなけりゃいけない。』そう考えて皆に提案してみた。

「皆、話があるんだ。」
ゴヌが練習の最後に言い出した。
「これからソクランは本格的な雨の季節になる。屋外での公演は難しくなる。
どこか公演をやらせてもらえる場所探してるけど見つけられないでいるんだ。
このところみんな疲れてる。
次の公演という目標がどもあれば頑張れると思うんだ。
だから、俺は次の公演が決まるまで、ここでいったん活動を休止したほうがいいと思う。」
「おい!ゴヌ!何を言ってるんだよ!」ヨンギが叫んだ!
「ヨンギさん。みんな。みんながどれだけ努力しているかわかる。
でも、ヨンギさんだっって、クラブでの仕事で夜寝てないだろ。ヒョッコンさんだってそうだ。疲れたまま続けても、音を曇らせているだけだ。」
みな、返す言葉がなかった。さらにゴヌは言った。
「期限は未定だ。次の公演が早くできるようにできるだけあたってみるから。」
「ゴヌ!あんたこそ、あたし達から逃げたいんじゃないの!」イドォンは大きな声を上げた。
「大学行って、うちらより実力のある奴らと演奏するほうがよくなったってわけ?」


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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/9/25 18:03
yuson  管理人   投稿数: 3026

hirokoさん こんばんは^^

2つのモイムも終わり、
ゆっくり浸りながら11話を読みした〜^^

今、ベバを改めて観はじめた所で。。。
丁度、ガビョンさんが路上で10時間オーボエを吹いたところを
一昨日観た所でした。

イドォンは心根は優しい子だから
ガビョンさんの姿に気持ちが相当えぐられたのだろうな。。と
胸が痛みます><。。

それぞれに抱える生活をしながらのマウスでの活動。。
中々厳しい現実ですね。。
閉塞感を打ち破る何かがあるといいなぁ。。。
閉塞感って、もがく感じ苦しいですよね。。

活動休止。
わっ。。マウスのこの先が気になりまーす☆





 
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