もう一度、『ベートーベンウイルス』…はじまりの交響曲12

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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿.1 .2 | 投稿日時 2013/9/11 18:51
hiroko  レギュラー   投稿数: 53
みんなの決意

「ゴヌの奴、そうとうまいってるな。」
ゴヌが出ていくとヒョッコンが言った。結局、話はまとまらないままゴヌだけ練習室を出て行ったのだ。
ヒヨンがゴヌの肩を持った。
「そりゃ、なれない大学生活だもの。それに、ゴヌの大学は名門よ。
ゴヌは25才になるまで音楽の勉強なんかしてこなかったんだもの。きっと大変なのよ。
それに、みんなが疲れてるのは本当じゃないの。」
「それでも、俺達ここで立ち止まったら、ますます、この先続けるのが難しくなるんじゃないのか?」
「でも、私たちこのままアマチュアとして活動続けられるのかしら?先細って行くだけなら今ここで決断するほうが、ズタズタにならずにすむのかもしれないわ。」
「ヒヨンさんはマウスが無くなって演奏ができなくなってもかまわないんでしょ。」
「そんな…無くなってかまわないなんて思ってないわよ。」
ヒヨンはイドォンの言葉にうろたえた。
それはヒヨン自身も「自分には他のメンバーに比べ必死さが欠けているんじゃないか。」という負い目があったからだ。
半年前、カン・マエがソクランを去るころ自分は音楽を続けられる気がしなかった。
『もう音楽はこれで終わりにしよう。家族のことだけ考える毎日に戻ろう。念願の公演もでき、ソリストとして演奏までできたのだから。
自分には身に余る幸運だったと思おう。』一度はそう考えた。
だが結局マエの最後の第九の指揮してもらってから、やはり自分は音楽が好きなのだと気づかされ、マウスで演奏を続けてきた。
音楽を続けて気持ちが前向きになった。以前より生き生きとしているヒヨンを娘や夫も喜んで応援してくれる。
今では続けてきてよかったと思っている。それを皆にもわかってもらえるだろうか。

「イドォン。お前、仲間われするつもりか。大切なのは、みんなの気持ちだろ。どうなんだ。みんな。続けるのか。続けないのか。その一点だろ。」
ヒョッコンの一言で皆の目がさめた。
「いいか、続けたいと思えば公演が何ヶ月先になろうが続けられる。要は俺たちの気持ちなんだよ。
俺は前も言ったが、音楽をやめるつもりは無い。
仮にお前らがやめたって俺はやる。そりゃ、みんなでマウスを続けたら最高だが…」
「…」
「それに、これも言ったが、ゴヌは世界で活躍できる才能を持っている。いずれ、羽ばたいていくだろう。その時、俺達はどうする?
ゴヌがいなけりゃもうマウスはやめるのか?ゴヌを引き止めるつもりか?」
「やめるわけ無いじゃん。」イドォンがつぶやく。
「あたしはやめない。マウスにはおじいさんの思い出が詰まってる。マウスがなくなったらおじいさんのいた証拠がなくなっちゃう。」
「ゴヌのヤロー、世話焼かせやがって。」
ヨンギはゴヌの後を追って部屋を飛び出していった。

ゴヌはとぼとぼと歩いていた。
「おい、ゴヌ。待てよ。ちょっと一緒にこい。」
「行くって、どこに。」
「つべこべ言わずにさっさとついてこい!」
ヨンギがゴヌを連れて行ったのはルミのところだった。

そこはルミの病院一室だ。
長期の小児患者や老人患者などに音楽療法などをするのに使ったりする部屋らしい。アップライトのピアノが一台置かれている。
そこに座って、まるでピアノの前に覆いかぶさるように座っているのはルミだった。
全身で何とか音を感じようと必死な姿だった。
「覚えてるか?俺、最初、カン・マエに市響メンバーから外されただろ。
あの時酷く悔しかった。人に自分の限界を決められるのがたまらなかった。
それまでは、自分で自分の夢を諦めかけていたのにな。」
ヨンギの話をゴヌはただ黙って聞いた。
「だから、俺もう自分から諦めるようなことはしたくない。」
「うん。」
「お前が、マウスじゃなくて別なところで指揮したくなったら、どこへ行ってもいいんだ。俺達は俺達で頑張る。
そして、またいつか絶対一緒にやれるように頑張る。だから、お前はお前の道を行っていいんだぞ。」
「ヨンギさん。俺、何も考えてないよ。」
「いいんだよ。ただ、覚えとけ。俺達の覚悟だから。俺さ、手術前にルミに言われちまってさ。
誰の力も借りずに自分だけで音楽を続ける覚悟があるか?ってね。」
「ルミが?」
「ルミが最初何を怒ってるんだかわからなくて、もう一度ここにきて、ルミのあの姿を見てやっと気が着いた。確かに俺は甘い。
だがな、俺はやっぱりみんながいないとダメだ。
『ルミやお前、マウスのみんな。ああやって必死に頑張ってる』そう思えば頑張れる。
だから、離れていても、みんな一緒じゃなけりゃダメなんだ。音楽をやめちゃいけない。」
「うん。」
ゴヌはルミから目を離さずにただうなづいた。

『できた!』
ルミは満足げにのびをした。
とうとうワークショップの曲ができた。自分の今の気持ちをこめた曲。

ゴヌとヨンギの後ろに、病院の職員が近づいてきた。シヌだ。
「ルミさんに面会ですか?」
「え?いや、その…うぉほん!俺帰るわ。じゃあな、ゴヌ。ルミによろしく!」
「ヨンギさん!」
気配に振り向いたルミに恥ずかしそうに手を振ると、そそくさとヨンギは帰ってしまった。
「ヨンギさん、まだわたしの言ったこと気にしているのかな。」
「いや。照れてるだけだ。珍しくかっこいいこと言ったから。」
「何それ?」
ゴヌは笑って答えない。
「それより、曲の進み具合はどう。」
「完成だよ。」
「見せて……」ゴヌはしばらく目で楽譜を追った。「うん!いい!ルミ。よくやったよ。」
「でしょ。」
シヌがゴヌを割って入ってきた。
「完成したんですか!じゃあ、曲の完成お祝いにもう一つ。ルミさん。さっき主治医の先生と相談してきました。退院の許可、出ましたよ。」
「わお!やった!ルミ、この曲、マウスで演奏させてくれ。楽譜ちょっと貸してくれ。俺ちょっと行きたいところができた。えっと、先生もぜひ、聞きに来てください。じゃあ。」
ゴヌはシヌに頭をペコリと下げ、それだけ言うと走って出て行ってしまった。
ルミはおかしくて笑った。
「オーケストラの仲間ですか?もしかして指輪の人?」シヌが冷やかすように言った。
「いえ。でも、大切な仲間です。」
「大切な人ですか…」
「ええ。」
「彼、すごい才能の持ち主で、その才能に嫉妬したこともあったんです。自分のほうが音楽を長くやってきたのに、足元にも及ばない。
おまけにわたしは耳も悪くして…一時は顔もまともにみられないくらい。自分の運命を呪いました。」
「…」そんな打ち明け話に心配そうな表情のシヌに慌ててルミは
「ああ、今は大丈夫。」
「ルミさんは強い。」
「わたしが強いんじゃありません。わたしを強くしてくれる人がいるんです。」
悩み、苦しむ日々にも、同じように戦っている仲間がいる。離れていても、一緒に戦っている人がいる。
耳が悪くても才能がなくても、自分は自分でいいと思わせてくれた人がいる。
その仲間を思うと胸が熱くなる。わたしは恋しているんだ。
その思いを曲にこめた。

「ルミさんの周りには素敵な仲間がいるんですね。ぼくの出る幕はないか…」
シヌとルミは顔を見あわせて笑った。





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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/9/26 9:07
yuson  管理人   投稿数: 3026

ヨンギ・ヒヨン・ヒョッコン・イドォン。。
そして ルミ・ゴヌ・。。。ガビョンさん。。

それぞれの生活の環境があって、
それぞれに抱える問題があって。。

今まで色々な事があったけれど、絆が育ち素敵な仲間になりましたね^^

進む方向を決めるのも、自分を良くするも悪くするも、
最終的には<自分の気持>なんだなぁ。。と
12話を読んで、マウスの面々から 
改めて教えれたというか、考える時間をもらったというか。。^^

ルミ 頑張っていますね!
透き通った強さ。。を感じまーす☆

ルミが創り上げた曲。。聴いてみたいです♪

シヌ先生は ルミに少し特別な気持ちを抱いているのかな。。?
発展はあるのかしらん〜(*^^)
 
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前の投稿 - 次の投稿 | 親投稿 - 子投稿なし | 投稿日時 2013/9/26 20:43
hiroko  レギュラー   投稿数: 53
yuson さま

いつも温かいメッセージありがとうございます\(^o^)/

このところ、yuson さまの『危険な妄想トピック』のお陰でわたしのカン・マエLOVE がヒートアップしています(^-^;
この思い、これからにかなり影響しそうです(^q^)

シヌ先生はわたしにとって、悩ましい存在です(^^ゞ
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